今回はパーソナルジム開業時で必要となる内装費やその内訳、費用を抑えるポイント等について取り上げていきたいと思います。
パーソナルジムを開業する際は、どれくらい開業費用が発生するか、概算で算出しておく必要があります。
開業の予算組みはビジネスを始める最も大切なポイントです。
ぜひExcelなどにまとめて資金計画を作りましょう。
そして、結論から言ってしまうと、本格的なジムの場合は内装費が350万円~650万円近くになります。
一方でマンションやアパートの一室から始めるマイクロパーソナルジムの場合は、内装費はほとんどかかりません。
集客ノウハウや運営が軌道に乗るまではマイクロパーソナルジムでの出店をお勧めします。
目次
パーソナルジムの内装費
内装費はパーソナルジム開業で欠かせない費用の一部であり、様々な項目に分類されます。
- 内装工事費(壁や床のクロス貼り等)…約200〜400万円
- 電気や空調等、換気設備工事費…約 8〜15万円
- 給排水設備工事費…約60〜80万円
- 家具・建具工事費…約70〜80万円
- 諸経費…約30〜50万円
これらを合計すると、約350〜630万円程の内装費用が発生する事となります。
パーソナルジム開業時では、この内装費を抑える事が運営面において重要となります。
内装費を抑えるには、居抜き物件を選択するのもオススメです。
以前パーソナルジムやスポーツクラブだった場所ですと、空調や給排水設備をそのまま使用でき、簡単な補修費で済む可能性が高いです。
空調設備や壁紙のクロス等をそのまま使用できる物件を探してみるのはいかがでしょうか。
これにより、大幅に内装費を抑える事にもつながります。
居抜き物件を見つけるのは中々難しいですが、出店地域の不動産屋をめぐり、密にコンタクトをとることで出てきたりします。
地元の不動産屋は自分のところでしか公開していない物件なども多数あるので、労力を惜しまず足を運んでみましょう。
注意ポイント
投資額を抑えるためにも居抜き物件は魅力的ですが、なぜ前のテナントが出てしまったのか?しっかりとリサーチもすることが大切です。
パーソナルジムとスポーツジムの内装費の違い
パーソナルジムとスポーツジムの内装費の違いは、規模の大きさと言えます。
まずスポーツジムは、幾つかのトレーニングマシンを設置するスペースが必要となります。
他にもロッカールームやサウナ、室内プールといった設備の設置が必要なうえ、プール等は特殊な処理も必要となり内装費が高額となりがちです。
一方でパーソナルトレーニングジムは、ジムトレーナーの方がマンツーマンで指導する為、最低限の準備で設備を整える事ができます。
シャワールームに関しても設置をしないで開業することも可能です。
そのため、スポーツジムと比べると内装工事の規模はかなり小さいと思われます。
また、マンションの一室等を使ったマイクロジムの場合、すでにお話をした通り、内装費をほとんどかけずに開業できる可能です。
物件取得費について
パーソナルジムの開業時で最初に発生するのが物件取得費です。
物件取得費は、平均で家賃6ヶ月分(例:家賃30万円の物件×6ヶ月=180万円)です。
これはあくまで目安で、物件や立地条件、更に契約するオーナーの意向等で変化していきます。
そこに敷金×2ヶ月、礼金×2ヶ月が乗ってくるので、実質10ヶ月分~12ヵ月分ぐらいの資金を持っておく必要があります。
独立開業は何が起きるかわかりません。
あらため準備をしておきましょう。
事例1 店舗物件の場合
項目 | 費用の相場 |
敷金 | 賃料の6~12ヶ月分程度 |
礼金 | 賃料の0~2ヶ月分程度 |
仲介手数料 | 賃料の1ヶ月分以内 |
前家賃 | 一般的に契約日から翌月分までの賃料 |
造作譲渡料 | 物件により造作無償(0円)~1000万円以上と様々なものがある。 |
例に挙げると、都内で駅近10坪程度の物件の場合ですと、家賃相場20万円程度となります。
そして、「敷金なし+保証金10か月+礼金2か月+仲介手数料1か月+前家賃1か月=280万円(造作譲渡費用は含まれず)」という感じとなります。
また、テナントを出る際には原状復帰が基本なので、造作などの内装を元に戻す費用も出てきますのでご注意ください。
事例2 商業利用可能なマンションの場合
項目 | 費用の相場 |
敷金 | 賃料の1~2ヶ月分程度 |
礼金 | 賃料の0~2ヶ月分程度 |
仲介手数料 | 賃料の1ヶ月分以内 |
前家賃 | 一般的に契約日から翌月分までの賃料 |
例として都内にある駅周辺にある10坪くらいの物件ですと、家賃相場は15万円程度で、敷金2か月+礼金2か月+仲介手数料1か月=75万円程だと思われます。
スケルトンとは
スケルトン物件は居抜き物件とは違い、コンクリート打ちっぱなしの状態の物件です。
また床だけでなく天井や内装等、何もない建物の躯体だけの状況を指しています。
トイレなどの排水溝設備もチェック
スケルトン物件の場合は、トイレや電気配線、ガス容量といった最低限のものが整えられていているのかどうかも、しっかりチェックをしましょう。
排水溝の増設はできず、トイレ以外に排水溝が無ければ、シャワーブースの設置はできません。
もしシャワーブースを設置したければ、事前に排水溝の数を確認しておく事が大事です。
スケルトン物件は、居抜き物件とは異なり、費用がグンと上がるのでご注意ください。
給湯器を設置できるか?
物件の規模によりますが、ユーザーの方の人数が多く、シャワーブースを設置する場合はガスの容量を確認する必要があります。
ガス容量が足りないと、別途工事が必要になるため高額の費用がかかってしまいます。
また、ガス工事が不可能な場合、別の物件を探し直さなければならなくなります。
ガス給湯器は「号数」と呼ばれる給湯能力を表す数値で幾つかの種類で分類されます。
号数 | 目安 |
10号 | 一箇所での給湯用 |
16号 | 冬場の二箇所同時給湯では容量不足となる |
20号 | 二箇所同時使用も可能だが、一時的に容量不足となる事もある |
24号 | 二箇所で同時給湯が可能 |
32号 | キッチンやシャワー、洗面所等で同時使用が可能 |
シャワーブースのみならず、お湯を使う機会もあるので、少なくとも「16号」以上の給湯器が設置されているか確認する必要があると思われます。
エアコンがついているか?
ジム開業の際に、マシン等と共にエアコンといった冷暖房設備も必要不可欠です。
居抜き物件ですと、設備がそのまま整えられている可能性があります。
一方でスケルトン物件の場合、エアコンが付いておらず同設備費用の出費も把握しておく必要があります。
エアコン本体代金や設置費を含めて、1台50万円前後はかかると考えておいた方がいいです。
天井高は十分足りるか?
開業時にマシンを導入する際、天井高が十分に無ければマシンが使えなくなってしまいます。
ですので天井高は2.4m以上と、余裕のある物件を探す必要があるでしょう。
一般的なテナントの場合は大丈夫かと思いますが、アパート・マンション開業の場合はご注意ください。
耐床荷重は十分か?
天井高とあわせて、耐床荷重についても確認をしましょう。
トレーニングジムでマシンを導入する場合、通常のテナントビルを例に挙げると、耐床荷重は1平方メートルあたり300kgとなります。
耐床荷重が足りないと、重量に耐えられずに損傷してしまう可能性があります。
マシンを導入の際は、不動産屋や業者へ重量等について相談し、後々もめないためにも文章などで確認をするようにしましょう。
防音設備は十分か?
トレーニング内容にもよりますが、ダンス系などのパーソナルジムを運営する場合、防音設備への注意は必須事項です。
まして、マンションの一室や別のお店が営業するテナント物件でのパーソナルジム運営でしたら、特に防音設備に力を入れる必要があります。
もし仮に、別のテナントショップや近隣住民から騒音による苦情が出ると、評判が落ちるうえ、運営自体も危うくなる可能性も出てきます。
その為にも防音効果は必須です。
防音を考えるにあたり、壁や床が薄い物件を選んだ場合でも、業者に相談して防音効果がある内装材を使用することを検討してください。
また、以前ジムだった居抜き物件の場合でも、防音に気を使わない設計となっている可能性があります。
ですので、壁や床の内装材の防音効果も調べておく必要があります。
内装見積もりをとる
内装工事代金を考える際は、設計費と工事費の二つがあると考えましょう。
これらは物件の広さで、その金額が大きく変わってきます。
パーソナルジムの場合は、設計(デザイン)費の相場は5~50万円または工事費の6~9%程度。
また内装費用として考えられるのは、天井や壁、家具、電気、空調、給排水、床材等といったところです。
一方のマンション物件は空調や電気、給排水設備が殆ど設置されていますが、家具や備品の購入となると、出費がかさんだりします。
ですので、ご自身で備品等の購入へ向かい、取り付けを業者に依頼する事をお勧めします。
これだけでも、初期費用を大きく抑える事が可能です。
まとめ
飲食店などと異なり、パーソナルトレーニングジムの内装費用はコストをかなり低く抑えることが可能です。
しかし、経営には様々な費用が発生するうえ、思うように客足も伸びず出費ばかりがかさむ事も予想されます。
初期のオープンに関しては、必要最低限にまで抑えたうえで快適なジムを開業し、軌道に乗った段階で店舗拡張や移転などをするようにしましょう。